こんにちは。二助企画です。
これまでの「おサルに願いを」シリーズでは、人々がおサルさんの存在に、さまざまな願いを託してきたことに触れてきました。その想いは、物語の中で語られていたり、神猿(まさる)さんという存在として信仰されていたり、三猿の教えとして受け継がれていたりと、実に多様で興味深いものでした。
そして前回は番外編として、歌や句の中に現れるおサルさんたちをご紹介しました。
今回はシリーズ本編に戻り、これまでにも何度か登場してきた「くくり猿」について、あらためて見ていきたいと思います。
「くくり猿」と聞くと、岐阜県飛騨高山の「さるぼぼ」や、手足をくくられた姿をした猿の形のお守りを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。特に京都・大黒山金剛寺八坂庚申堂のくくり猿は、よく知られています。
そのルーツについては、これまで本シリーズでも触れてきたように、山王信仰における神猿、伝教大師の教えと結びつく三猿、さらに道教の流れをくむ庚申信仰など、複数の信仰や思想が重なり合いながら形成されてきたものと考えられます。
そのため、「くくり猿」の文化は岐阜や京都だけでなく、全国各地で醸成されていたようです。
例えば、福岡県柳川市で江戸時代から続くひな祭り「さげもん」や、静岡県東伊豆町・稲取の雛のつるし飾りにも、くくり猿の姿を見ることができます。
また、長野県松本市では、子どもが病気になった際にくくり猿を腰に吊るし、回復後には複数(七つ)作って奉納するという習わしがあったと伝えられています。さらに宮崎県でも、くくり猿は「背守り」として用いられ、幼い子どもの健やかな成長や魔除けを願って、産着や着物の背に縫い付けられていたそうです。
三重県でも、津市や亀山、鈴鹿などの夏祭りや秋祭りでくくり猿が見られたとされ、河芸地域の無形民俗文化財「ざるやぶり」神事の中にも、吊るし猿として登場します。
このように見ていくと、おサルさんは「サル=魔が去る」という語呂合わせとともに、古くから人々の願いを託されてきた存在であることが分かります。中でも、子どもの健康や成長を願う場面において、特に大切にされてきたように感じられます。
飛騨高山の「さるぼぼ」においても、「ぼぼ」が赤ちゃんを意味する言葉であることから、やはり同様の願いが込められていることがうかがえます。
さて、この「くくり猿」について、さらに詳しく知りたい方におすすめの場所があります。
少し長くなりそうですので、次回は奈良市にある「奈良町資料館」をご紹介しながら、くくり猿の文化をもう少し深く掘り下げていきたいと思います。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
参考文献・サイト・取材協力
・世界の三猿: その源流をたずねて/飯田道夫 人文書院
・驚きの猿文化~世界のサル文化紀行から/上島亮 株式会社三重大学出版会
・ものと人間の文化史34 猿/廣瀬鎭
・「つるし飾りについての考察雛のつるし飾りの復活と今後」三原 信子/東京家政大学博物館紀要 第14集 p.133〜149, 2009
・津市> 子育て・教育 > 教育委員会 > 生涯学習・公民館 > 文化財 > 市指定文化財 > 河芸地域の無形民俗文化財
https://www.info.city.tsu.mie.jp/kosodate_kyouiku/kyouikuiinkai/1004357/1004663/1004679/1004680.html
・稲取温泉>旅館協同組合>雛のつるし飾り>色々な形の雛
