こんにちは。二助企画です。
前回は、日光東照宮の三猿の教えの源流とも言われている、七つの猿の歌についてのお話でした。
今回は、その歌に詠まれているおサルさん達に、実際に会うことができるお寺、廬山天台講寺(ろざんてんだいこうじ)についてご紹介します。
廬山天台講寺は、比叡山天台18世座主元三大師良源によって創建されました。ちなみに、元三大師は、現在の寺社・仏閣で行われている「おみくじ」をはじめた人物としても知られています。
京都府立医大病院すぐ近く、京都御所東側を南北に走る寺町通沿いに位置し、京阪「神宮丸太町」「出町柳駅」から徒歩15分ほど。京都最古といわれる節分会の鬼踊りが有名で、紫式部が生まれ育った邸宅があった場所として知られています。

(撮影:二助企画)
見どころの多い廬山天台講寺ですが、二助企画が大注目しているのは、寺町通り沿いの山門から入ってすぐ正面にある元三大師堂。
鈴緒(すずお:お賽銭箱の上に吊るされた、鈴を鳴らすために垂れ下がっている長い紐)の奥にある扉の中に、七猿歌のおサルさんが彫られた欄間があるんです!
普段は非公開の元三大師堂ですが、今回は特別に撮影も許可をいただきました。

(撮影:二助企画。)
「元三大師」と書かれた扁額(へんがく:神社の鳥居や社殿、お寺の本堂などに掲げられている額)の右側に3匹、左側に4匹、合わせて7匹のおサルさんが彫られています。
それでは、右側から1匹ずつ、七猿歌と一緒に見ていきましょう。カッコ内は、前回のコラムでご紹介した現在風の言葉に置き換えた解釈です。

(撮影:二助企画)
つらつらと うき世の中を思うには まじらざるこそ まさるなりけれ
(まず、自分の目標や志を立てるときは、一人で静かに考えることが大切)

(撮影:二助企画)
見聞かでも いわでもかなわざるものを うき世の中にも まじるならいは
(そのあとで、世の中の変化に合わせて柔軟に動きましょう)

(撮影:二助企画)
つれもなく いとわざるこそうかりけれ 定めなき世を 夢と見ながら
(世の中には、心を乱すものも多いと知り)

(撮影:二助企画)
何事も 見ればこそげにむつかしや 見ざるにまさる ことはあらじな
(見たものに振り回されないように)

(撮影:二助企画)
きけばこそ 望みもおこれはらもたて 聞かざるぞけに まさるなりけり
(聞いたこと、うわべの楽しさに振り回されないように)

(画像⑧撮影:二助企画)
こころには なにわのことを思うとも 人のあしきには いわざるぞよき
(人の好き嫌いや、良し悪しをむやみに言わない)

(画像⑨撮影:二助企画)
見ず聞かず いわざる三つのさるよりも 思わざるこそ まさるなりけり
(善い・悪いとすぐに決めつけず、静かに心を保ちましょう)
いかがでしょうか?
おサルさん達の表情と、歌に込められた意味が、見事に重なって見えてきませんか。
特に、扁額の左側に彫られた4匹は、「見ざる・聞かざる・言わざる・思わざる」の四猿そのもの!この彫刻欄間は、慈恵大師良減源が残した七猿歌の世界観を、立体的に、そして非常にわかりやすく表現していると言えるでしょう。
元三大師堂は、天保六年(1835)の再建と伝えられています。この7匹のおサルさん達は、200年近くにわたって、廬山天台講寺を訪れる人々を静かに見守り続けてきたのですね。
なお、元三大師堂では毎月三日に護摩が行われており、どなたでも自由に参加できます。その際には、この彫刻欄間も間近に拝見できますので、七猿歌の世界に思いを馳せながら、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
参考文献・サイト・取材協力
・世界の三猿: その源流をたずねて/飯田道夫 人文書院
・驚きの猿文化~世界のサル文化紀行から/上島亮 株式会社三重大学出版会
・日吉大社
・廬山天台講寺
https://www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/
他
※順不同
