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2025.12.19

コラム

動物園のニホンザルとイノシシ

こんにちは。二助企画です。

年の瀬ですね。早いもので、2025年もあとわずかです。

前回に引き続き、動物園のニホンザルについて、「へぇ！」と驚くようなエピソードについてご紹介していきます。今回は、年が変わり干支も変わるタイミングなので、おサルさんとは十二支仲間である、イノシシとニホンザルの関係についてご紹介していきます。

読者の中には、イノシシとニホンザルと言えば、「そういえば、、、」と思い出される方もいらっしゃるかもしれません。

恐らく日本一有名なエピソードは、福知山動物園の「みわとウリ坊」のお話でしょう。

■福知山動物園の「みわ」とウリ坊

2010年、崖から転落し、傍らで死んでいた母親にしがみついて鳴いていたところを住民に発見され、福知山動物園で保護されたニホンザルの「みわ」（名前の由来は、発見場所の旧三和町にちなむそう）。

ニホンザルの赤ちゃんは、母親に抱きつく習性がありますが、「みわ」には、その母親がいませんでした。その姿を不憫に思った動物園が、同時期に保護されたウリ坊に出会わせたところ、2匹は大の仲良しに。「みわ」がウリ坊の背中に乗って園内を散歩するようになり、その愛らしい姿は、当時大人気となりました。

しかし、2匹の成長スピードはすさまじく、背中に乗る姿が見られたのはわずか半年ほど。「みわ」が脱走騒ぎを起こしたことをきっかけに、コンビは解消されています。

■京都市動物園での共生展示と、その難しさ

京都といえば、実は京都市動物園でも、かつてニホンザルとイノシシの共生展示が試みられていた時期がありました。そのきっかけについての記録は見つけられなかったのですが、1959年から約28年間、サル島で、イノシシの飼育が行われていたそうです。

サル達とイノシシはとても仲よく暮らしていたようですが、1987年、共生展示は終了。その理由は、「サルがイノシシの毛をむしっては食べてしまう悪い癖があり、食べた毛が束になって消化管に詰まったりする例が出てしまったから」だそうです。

■成功している共生展示も（旭山動物園・羽村市動物公園）

とはいえ、ニホンザルとイノシシの共生展示がすべて難しいわけではないようです。北海道の旭山動物園では、2019年の夏期開園より、ニホンイノシシの共生展示が始まりました。また、東京都の羽村市動物公園でも、両者の共生展示が比較的うまく機能している例があります。

特に、旭山動物園では、展示空間に工夫をしているようです。十分な広さを確保し、逃げ場や視線を遮る構造を設けることで、無理な接触を避けられる環境を整えているとのこと。

イノシシとニホンザル。干支では隣同士でも、その関係性は一様ではありませんね。動物たちの関係は、「捕食関係でなければうまくいく」というような単純なものではないようです。そしてそれは、ニホンザルと人間の関係にも、どこか共通しているように感じられます。

二助企画では、ニホンザルのウェルネスについて常に考え、正しく知り、丁寧に伝えることを通して、おサルさんたちとよりよい関係を築き続けていけるよう、これからも日々精進してまいります。

二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。

猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。

ブログは毎月2回、第１・３金曜日に公開予定。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また次回のブログでお会いしましょう！

参考文献・サイト・取材協力

読売新聞オンライン＞地域＞#kyoto

ロデオ猿「みわ」と「ウリ坊」すっかり貫禄…名コンビ誕生の陰には悲しい物語

京都市動物園＞飼育員ブログ＞サル島の思い出６

京都市動物園＞動物園だよりNo.70（平成元年10月10日発行分）

・あさひやまどうぶつえん（複数ページ参照）

・京都市動物園（複数ページ参照）

・北海道新聞旭川支社＞旭山動物園わくわく日記＞

他

※順不同