こんにちは。二助企画です。
ずっと続いている「おサルに願いを」シリーズですが、今回は少し寄り道をして、「世界ニホンザルの日」についてのお話をしましょう。
12月3日は「世界ニホンザルの日」でした。
記念日と聞くと、つい語呂合わせを思い浮かべがちですよね。確かに、12月3日はサルの「サ」を思わせる「3」が入っていますが、なぜこの日が選ばれたのだろう?と不思議に思う方も多いかもしれません。
その理由は、こちら。
『1948年12月3日、宮崎県の幸島で、京都大学の今西錦司らが初めてサルの調査をおこないました。これにちなみ、12月3日を「世界ニホンザルの日」とします。』(日本モンキーセンターウェブサイトより)
そうなんです。12月3日は「日本のサル学」が始まったともいえる記念の日。この日をきっかけに、世界に誇る日本の霊長類研究の歴史が動き出したのですね。
「世界ニホンザルの日」は日本モンキーセンターによって2021年に制定されました。まだ歴史は浅いものの、その一方で、ニホンザルが動物園で人々の前に姿を見せるようになってからの歩みは、驚くほど長いのです。
せっかくなので、今回はニホンザルと動物園の関わりについて、少しひも解いていきましょう。
日本動物園水族館協会のサイトで検索したところ、2025年12月現在、ニホンザルに会える動物園は全国で28カ所。
その歴史をたどると、日本初の動物園である東京・上野動物園が「動物園のニホンザル展示」のはじまりとされています。当時の人々にとっては、生活の中で親しんでいた身近なニホンザルが「展示されている」という珍しさもあり、人気を集めていたようです。
明治末から大正期にかけて、東京以外の都市にも動物園が次々と誕生。当初の展示形態は檻(おり)に入れるものが一般的でしたが、時代の経過とともに動物園施設の近代化が進みます。
1924年には上野動物園が大規模改造を実施。1932年(昭和7年)に「サル山」と呼ばれるオープンエアのサル展示場が完成しました。これが、皆さんのイメージする「動物園のニホンザル」の原型ですね。
コンクリートでできた山に堀を巡らせ、檻越しではなく自然な群れの様子を観察できる画期的な展示方法は大きな話題に。以降、日本各地の動物園で類似の「サル山」や「サル島」が作られるようになりました。
たとえば京都市動物園でも1937年(昭和12年)に「サル島」と呼ばれるモンキーアイランド型の展示場ができ、その後85年以上にわたりニホンザルの群れが来園者を楽しませてきました。
しかし、時代とともに施設の老朽化が進み、上野動物園のサル山も、京都市動物園の「サル島」も、2024年に一旦その長い歴史に幕を下ろしています。(2025年12月現在、京都市動物園では代替施設で展示を継続中)
「世界ニホンザルの日」をきっかけに、明治から続く動物園でのニホンザルの飼育展示の歴史を振り返ってみました。「おサルに願いを」シリーズでは、ニホンザルが人々の信仰の対象として大切にされてきた姿を追ってきましたが、一方で「世界ニホンザルの日」の視点からは、ニホンザルが研究の対象として、そして動物園における身近な娯楽として親しまれてきた側面が見えてきますね。
長くなりましたので今回はここまで。次回は、動物園のニホンザルのさまざまなエピソードについてご紹介していきます。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
参考文献・サイト・取材協力
・上野動物園
https://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/
・東京都>都庁総合トップ>お知らせ>報道発表>2025年>4月>都立動物園・水族園からのお知らせ
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/04/2025041022
・東京ズーネット
・日本動物園水族館協会
・京都市動物園
https://zoo.city.kyoto.lg.jp/zoo/
・World Japanese Macaque Day
https://sites.google.com/view/world-japanese-macaque-day/Home?authuser=0
・日本モンキーセンター
他
※順不同
