こんにちは。二助企画です。
前回、ご紹介した大阪四天王寺庚申堂。今回は、前回に紹介しきれなかったおサルさん達についてのお話です。
まずはお堂の正面にある「お百度石」にいる三猿。
(画像:二助企画)
元三大師堂とお百度石を行き来しながら、百回参ることで願いを叶えるという、古くからの願掛け。その石の上にちょこんと座っているのが「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿です。手のひらを添えるように、目や耳を覆う姿が印象的で、まるで参拝者の願いをそっと聞き届けてくれているようですね。
次に、庚申塔に刻まれた祈りのおサル達。境内には、庚申の本尊青面金剛や三猿をかたどった庚申塔を、20基ほど見ることができます。
(画像:二助企画)
これらの庚申塔は、寛文10年(1670)から平成2年(1990)まで、長きにわたり奉納されたもの。大阪市の有形民俗文化財に指定されています。
石面に彫られたおサルさん達はそれぞれに、目を覆い、口を押さえ、耳をふさぐお馴染みの姿。しかし、3匹の並びには、統一性はありません。
この並びの違いは、庚申堂ならでは特徴かもしれません。三猿と言えば「見ざる、聞かざる、言わざる」というフレーズが一般的なようですが、京都の八坂庚申堂で見られる三猿さん達も、その並びはバラバラでした。日光東照宮の三猿さんも、「見ざる、聞かざる、言わざる」というフレーズとは違い、左から「聞かざる、言わざる、見ざる」でした。それぞれの土地の風土や時代に影響を受けているのかもしれませんね。
そして、そして!四天王寺庚申堂の大きな見どころが「三猿堂」です。
(画像:二助企画)
庚申の日に、「一願を祈ると霊験あり」と伝わるこのお堂には、堂々とした木造の三猿が祀られています。特別に撮影許可をいただきました。ありがとうございます!
(画像:二助企画)
左から、「見ざる・言わざる・聞かざる」の順に並んでいます。中でも印象的なのは、見ざるのおサルさんの姿。天を仰いで目を押さえ、躍動感があります。これまで、たくさんの寺院のおサルさん達に会ってきましたが、こちらこの三猿の大きさは、特別です。足元には、小さな石像の猿も並んでおり、まるで弟子たちを従えているいかのよう。
(画像:二助企画)
四天王寺庚申堂は、絵馬にも可愛らしい三猿が描かれています。その並びは、三猿堂の三猿と同じ、左から「見ざる、言わざる、聞かざる」。絵馬が重なり合う様子は、まるで三猿が人々の願いを守っているようです。
(画像:二助企画)
これまで「おサルに願いを」シリーズでは、たくさんの神社仏閣のおサルさんたちに会ってきましたが、大阪四天王寺庚申堂のおサルさんの数と多様さは、まさに圧巻。石、木、絵馬、瓦、、とその姿かたちは違っても、おサルさんが、人々の祈りを受け止める存在であることが、二助企画としては嬉しい限り。
さて、これまで日本三大庚申の三猿について触れてきました。実はもうひとつ、京都三大庚申というものも存在します。次回からは、京都三大庚申をめぐるお話をお届けしますね。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
参考文献・サイト・取材協力
・世界の三猿: その源流をたずねて/飯田道夫 人文書院
・驚きの猿文化~世界のサル文化紀行から/上島亮 株式会社三重大学出版会
・お寺のどうぶつ図鑑/今井淨圓 監修 二見書房
・神使像図鑑 神使になった動物たち/福田博通 新協出版社
・大黒山金剛寺八坂庚申堂
http://www.yasakakousinndou.sakura.ne.jp/index.htm
・四天王寺庚申堂
・大阪市>イベント・観光>歴史・文化>大阪市指定文化財>大阪市指定文化財(指定年度別)>大阪市指定文化財(平成24年度)> 庚申堂の庚申塔群 一括(20基)
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000212983.html
・文化遺産オンライン>庚申堂の庚申塔群
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/259042
他