お知らせ

NEWS

おサルに願いを㉙庚申信仰の三猿のひみつ

こんにちは。二助企画です。

 

前回お伝えしたように、今回からは、庚申信仰におけるおサルさんについて考えていきます。

 

まずは、庚申信仰について。

 

庚申信仰とは、中国の道教に基づくもの。平安時代に中国からその考え方が日本にもたらされ、江戸時代に盛んになった民間信仰です。その本尊は、仏教(道教)系の青面金剛(しょうめんこんごう)が一番多いとされています。神道系では、猿田彦神が祀られています。

 

では、この庚申信仰の場で、なぜおサルさんが活躍しているのか?

 

それは、庚申の「申」つまり「猿」を庚申の神使としたからです。また、天台宗の修験者が庚申信仰に関わったということもあり、天台宗の神のつかいである神猿さんの存在も影響を与えたとされています。

 

しかし、ここで疑問がひとつ浮かびます。

 

庚申信仰のシーンで活躍しているおサルさんは、神猿さんのように、1匹ではなく「三猿」。3匹がセットになっているのですね。果たしてなぜ3匹のおサルさん、しかも「見ざる・聞かざる・言わざる」なのか?

 

それには、庚申信仰の教えが関係していました。

 

庚申信仰では、人間の中には「三尸(さんし)」という虫がいると信じられていました。その三尸は、60日に一度来る庚申(こうしん・かのえさる)の日の夜、人が寝ている間に身体から抜け出してきて、天帝(てんてい:天に居て万物を支配する神)に、その人の罪過ちを告げに行くとされていました。そして、罪を知られた人間は、天帝によって寿命を縮められると恐れていたのです。

 

三尸によって、自分の罪過を告げられることを避けたかった人々は、庚申の日に三尸が身体から抜けなければよい!と考えました。そこで、60日に一度来る庚申の日には、飲食や談笑をしながら眠ることなく夜が明けるのを待ちました。

 

つまり、当時の人々は、自分の罪(大なり小なり、誰にでもあるちょっとした過ち)を、どうにか隠しておきたかったのです。寿命が縮まるのが嫌だったのですね。身体の中にいる三尸は、徹夜をすることで、どうにか抑え込むことができます。しかし、神の使いであるおサルさんには、どうにかして見透かされているのではないか、、、と恐れたのですね。

 

そこで、おサルさんに「自分達の罪を見聞きして、天帝に伝えないでほしい」と願ったのです。「私の罪を見ないで!聞かないで!言わないで!!」その願望が、庚申信仰の「見ざる聞かざる言わざる」の三猿の由来なのです。

 

ところで、おサルさんとは関係ない虫に関する余談になりますが、ここで「虫」が付く慣用句、ことわざを挙げてみます。

 

虫の居場所が悪い:ちょっとしたことでイライラする

腹の虫がおさまらない:なぜか気に入らない

虫が好かない:理由なくキライだと感じる

虫がいい:自分勝手に都合よく振舞う

泣き虫・弱虫

など

 

いかがでしょうか?こうしてみると、自分の意志ではどうしようもないけれど、行動に影響を与えるものとして「虫」という存在がありそうな感じがしてきます。これは二助企画の予測ですが、これらの虫は、庚申信仰の三尸に影響を受けているのではないでしょうか。

 

さて、庚申信仰に話を戻します。

 

60日に一度来る庚申の夜の集いは、さまざまな情報を交換し、農作業の知識や技術を研究する役割も果たしていました。そして、この集会(庚申待ち)を318回続けた記念には、庚申塔と呼ばれる石碑を建立しました。

 

この庚申塔の多くには、三猿が彫られています。現在でも日本全国で、その姿を見ることができるので、次回からご紹介していきますね。

 

 

二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。

猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。

ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

また次回のブログでお会いしましょう!

 

 

参考文献・サイト・取材協力

・世界の三猿: その源流をたずねて/飯田道夫 人文書院

・驚きの猿文化~世界のサル文化紀行から/上島亮 株式会社三重大学出版会

・お寺のどうぶつ図鑑/今井淨圓 監修 二見書房

・神使像図鑑 神使になった動物たち/福田博通 新協出版社

・目黒区トップページ > 文化・スポーツ > 歴史・文化財 > 庚申塔を探しに行こう > 庚申塔(こうしんとう)って何

https://www.city.meguro.tokyo.jp/shougaigakushuu/bunkasports/rekishibunkazai/nani.html

 

一覧に戻る
CONTACT

日本伝統芸能猿まわしの出張ステージのご依頼や、
TV・CM・映画・雑誌などの出演依頼など
お気軽にお問い合わせください

(お電話受付時間 10:00~17:00)