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おサルに願いを㉖論語の教えと中国の三猿

こんにちは。二助企画です。

 

おサルに願いをシリーズ、「三猿」の起源について考えていくなかで、前回はインドの三猿について触れました。

 

今回は、「論語」の教えと中国の三猿を取り上げてみます。

 

儒教の代表的な経典の一つである「論語」は、中国の思想家である孔子の教えを、弟子たちがまとめた語録。その中に、

 

「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、非礼勿動」

訳: 礼にかなわぬことを視るな。礼にかなわぬことを聴くな。礼にかなわぬことを言うな。礼にかなわぬことで動くな。(穂積重遠『新訳論語』による訳)

 

という一節があります。

 

これが「不見・不聞・不言」つまり「見ざる、聞かざる、言わざる」の教えに繋がったという解釈があります。

 

この教えが、仏教思想と共に、中国から日本へ渡ってきた天台宗系の留学僧たちによって日本に伝わりました。天台宗といえば、このコラムでも紹介した山王信仰の本拠、日吉神社。日吉神社には、そう!神の使いの神猿さんがいましたね。

 

これは二助企画の推測ですが、「不見・不聞・不言」の教えが神猿さんの存在と結びついて、三猿に繋がった面もありそうですね。

 

ところで論語とは少し距離のある話になりますが、関連するビジュアル資料として、おもしろいものをご紹介しましょう。

 

ホータンと呼ばれる土地をご存じでしょうか?中国の新疆ウイグル自治区にあり、かつてはシルクロード上の重要都市として栄え、現在でも、高品質のヒスイの産地として知られています。

 

このホータンからは、口に手をあてているポーズをとる猿の土偶が出土しています。その姿はまるで、「言わざる」にそっくり。三猿は、「見ざる」「聞かざる」とセットであることを考えると、このポーズは偶然かもしれませんが、なんだか関係性を見出したくなってしまいますね。

 

最後にもうひとつ、中国の三猿についてのお話。

 

こちらは、「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿ではないのですが、中国には古くからたくさんの人に親しまれ愛されている3匹のおサルさんがいます。

 

それは、中国の道教の二大宗派の一つ全真教の本山である白雲観にいるおサルさん。白雲観は、北京の中心にある天安門から1kmほど離れた場所に位置し、縁日にはかなり多くの人でにぎわいます。

 

この白雲観には「三猴不見面(サンホォウブジェンミェン:さんさるかおをあわせず)」という言葉が残されており、宮観の中に三匹のおサルさんがお互いに顔を合わせることなく棲んでいることを意味します。

 

そして白雲観には、この3匹のおサルさんを撫でると幸せになるという言い伝えがあり、多くの参拝者は、3匹のおサルさんがどこにいるのかを探すそうです。ちょっとした宝探しのようで楽しいですね!

 

ちなみに、撫でると幸せになるというおサルさんは、ベルギーのモンス市庁舎にもいます。おサルさんは、世界中で人々の願いや教えを背負って頑張っているのですね!

 

二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。

猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。

ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

また次回のブログでお会いしましょう!

 

 

参考文献・サイト・取材協力

・世界の三猿: その源流をたずねて/飯田 道夫 人文書院

・世界の三猿―見ざる、聞かざる、言わざる- 中牧弘允 東方出版

・驚きの猿文化~世界のサル文化紀行から/上島亮 株式会社三重大学出版会

・宮島弥山 大本山 大聖院>今月の説法>「見猿・聞か猿・言わ猿・せ猿」【20207月の法話】

https://daisho-in.com/sermon_2007.html

 

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