こんにちは。二助企画です。
おサルに願いをシリーズ、厩猿についてのお話を終えたところで、今回からは、おサルさん信仰の中でもっとも有名といっても過言ではないでしょう。「三猿」について、あれこれお伝えしていきます!
まず、そもそもの読み方から。
みなさん、三猿と書いて、「さんえん」と読みますか?それとも「さんざる」と読みますか?果たしてどちらが正しいのでしょうか?
その答は、、、
どちらの読み方もOK!
ですが、広辞苑などの国語辞典や百科事典など、言葉について解説をする書籍上では、その多くが「さんえん」を見出し語として採用しています。
一方で、日常会話や近年のメディアでは「さんざる」と読むケースも広く浸透していると言えます。
三猿と言えば、打ち消し助動詞「~ざる」と「猿」の一致の語呂合わせ「見ざる聞かざる言わざる」の表現が、あまりにも有名であるからでしょう。
つまり、三猿の正式な読み方は「さんえん」とされていますが、「さんざる(さんさる)」も今ではすっかり、一般に定着しているんですね。
言葉の意味や読み方は、時代の変化と共に変わっていくものなので、現在においては、「さんえん」「さんさる」のどちらも正しいと言っていいと判断できます。
さて、三猿の読み方についてクリアになったところで、ちょっとした豆知識をご紹介。
三猿は、英語ではどう訳されるでしょうか?
実は、ただの「Three Monkeys」ではないのです。もっともよく使われるのは、「Three Wise Monkeys」。
「wise」は、賢いという意味。つまり、直訳すると「3匹の賢い猿」ですね。
そもそも三猿は、3匹の猿が「見ざる聞かざる言わざる」と、目、耳、口を覆うポーズをしているもの。「何を」見ない・聞かない・口にしないのかというと、それは「悪いもの」。つまり、悪いものに関して関与しない=賢い、という解釈から、「Three Wise Monkeys」と訳されることが多いようです。
三猿が英語で表現されているということは、誰かが英語で三猿の存在について言及したからなのですが、、、皆さん、ご存じでしょうか?
実は、その人物。こわーい話「怪談」で知られる小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)なのです。
明治時代の作家である小泉八雲。日本に古くから伝わる口承の説話を記録・翻訳し、世界に発信したことで評価されていますが、彼が伝えた日本文化のひとつに三猿があります。
1894年に出版された「Glimpses of Unfamiliar Japan」(邦題:知られぬ日本の面影)。原文第2巻の「Bon-odori」(盆踊り)という箇所で、彼は、日本の盆祭りの情景を描写する中で三猿を紹介しているのです!
具体的には、庚申(こうしん)信仰の「三猿」について、「Three Mystic Apes(三つの神秘的な猿)」と紹介。見ざる、聞かざる、言わざるを
Mizaru, who sees no evil, covering his eyes vrith his hands,
Kikazaru, who hears no evil, covering his ears with his hands,
Iwazaru, who speaks no evil, covering his mouth with his hands.
と英訳しています。
三猿が英語圏に広まった要因には、この他にも様々な出来事がありますが、小泉八雲の存在が大きかったことは確かですね。
ちなみに「Glimpses of Unfamiliar Japan」は、インターネット上で、初版のスキャンテキストが公開されています。小泉八雲が、当時の日本をどう世界に紹介したのか、気になる方はぜひ原文にも触れてみてくださいね。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
参考文献・サイト・取材協力
・京都先端科学技術大学『人間文化学部学生論文集』2012 年
・人はサルとどのようにつき合ってきたか/三戸幸久 神奈川県立博物館調査研究報告(自然科学) 第10号 ニホンザルの今・昔・未来 一野生動物との共存を考える一
・猿まわしの系図/飯田道夫 人間社
・アニマルロアの提唱‐ヒトとサルの民俗学/廣瀬鎮 未来社
・人とサルの社会史/三戸幸久・渡邊邦夫 東海大学出版会
・ものと人間の文化史34 猿/廣瀬鎮 法政大学出版局
・日本文化と猿/大貫恵美子 平凡社選書154
・世界の三猿: その源流をたずねて/飯田 道夫 人文書院
・「Glimpses of Unfamiliar Japan」(邦題:知られぬ日本の面影)原文
他