こんにちは。二助企画です。
これからも引き続き、全国各地の猿信仰や猿にまつわる言い伝えなどについて、触れていきたいのですが、21回目の今回は「区切り」を。
おサルさんにまつわる信仰のちょっとしたまとめをご紹介しますね。
あくまで、二助企画が見聞きしたり、調べたりした中での「まとめ」です。正解ではないですし、言い切れるものではありませんが、、、。おサルさんを愛するものとして、おサルさん信仰の理解を深めるための、ひとつの試みとして受け取っていただければ幸いです。
日本において、ヒトがおサルさんの存在に願いを寄せる行為(ここから先は「おサルさん信仰」と表現します)の源流は、大きくわけて6つに分かれるのではないかな、と感じています!
その6つとは、、
1)厩猿(うまやさる・うまやざる)
2)三猿
3)庚申信仰(かえのさる信仰)
4)天台宗の神猿さん
5)猿田彦大神
6)猿丸大夫
この6つです。(順不同)
とは言えこの6つの関しては、すべてが複雑に影響を与えあっている面があります。
例えば、猿田彦大神は、日本神話の中で語られる存在ですが、仏教の宗派のひとつである天台宗開祖の地を示したという逸話があります。また、その呼び名から庚申信仰とも結びつきが感じられることも。
このように、互いに様々な影響を受け合っているおサルさん信仰ですが、4)天台宗の神猿さんと、6)猿丸大夫については、これまでにいくつかご紹介してきましたね。
今回は、二助企画にとって、もっとも身近で親しみの持てるおサルさん信仰の源流である
1)厩猿(うまやさる・うまやざる)
についてお話していきます。
厩猿とは、「生産」と「繁栄」の祈願を根本とした精神性を具現化したもの。東北や九州地方において色濃くその存在を感じる「猿を馬の守り神とする民間信仰」です。
具体的には、牛小屋・馬小屋に猿の頭蓋骨や手の骨を祀り、牛や馬の安産や健康、厩の衛生などを祈願するもの。頭骨と手骨、それぞれに向けての祈願の内容は分かれており、頭骨については守護神として、手骨については、安産祈願や豊作祈願といった側面が強く現れています。
ただその起源については、文献には残されていません。いつ頃からこうした信仰があったのかは不明ですが、
・現存する猿の骨は、ほとんどが100年以上経っていること
・300年ほど前からあったと家屋から、猿の骨が多く発見されている
という事実は確認されています。
そもそも、なぜ猿が馬の守り神と信じられていたのか?
その起源は、インドにあり中国を経て日本に伝えられたと考えられています。日本にその考えが伝わった際に、陰陽道によって体系化されました。
猿が馬の守り神であるという考えから、もともと多くの厩では「生きた猿」が飼われていました。その証拠は、たくさん残されています!(長くなりそうなので、具体的な証拠については、次回のコラムでご紹介させていただきますね。)
ところで、ここから先は想像ですが、生きた猿を飼うのは簡単なことではありません。二助企画でも、おサルさんの福祉を十分に配慮しながら、最適な環境を整えることに注力していますが、それには、知識も技術も必要ですし、お金も時間もかかります。
だから生きた猿を飼う代わりに、その骨を祀るという行動に、祈願の形が変容されたと考えるのは不自然なことではないでしょう。
一方では、猿を連れて厩を祓う祈祷師の存在が誕生しました。時代の変化とともにその宗教性が薄れ、宗教儀式から大芸道へと姿を変えて受け継がれたのが、二助企画が取り組む「猿まわし」なのです!
つまり、厩猿信仰が猿まわしの源流ということですね!次回は、猿まわしがはじまる前段階の、厩でおサルさんを飼っていたという証拠をいくつかご紹介していきます。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
参考文献・サイト・取材協力
・京都先端科学技術大学『人間文化学部学生論文集』2012 年
厩猿信仰の歴史的変遷と祭祀形態の転換期における頭骨の意味/薮内 紫音
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://lab.kuas.ac.jp/~jinbungakkai/pdf/2012/h2012_02.pdf
・奥州市公式ホームページ<東北地方の厩猿信仰
https://www.city.oshu.iwate.jp/section/ushi/07_tomo/mayazaru/main.html
・猿まわしの系図/飯田道夫 人間社
・アニマルロアの提唱‐ヒトとサルの民俗学/廣瀬鎮 未来社
・人とサルの社会史/三戸幸久・渡邊邦夫 東海大学出版会
・ものと人間の文化史34 猿/廣瀬鎮 法政大学出版局
・日本文化と猿/大貫恵美子 平凡社選書154
他